私はFIA(国際自動車連盟)の女性評議会代表委員や、世界大会の優勝者などが集うFIA Drivers評議会の女性代表委員をそれぞれ2012年、13年から携わらせていただいていますが、グリッドガールの是非については当時から議論されていました。セクハラをなくすにはどうすればいいか、衣装に露出が多すぎるのではないかなどです。私も日本でレースクイーンをやっていましたが、スポンサー、レーサー、観客からのセクハラを数多く受けてきました。実際に私も何度も参加した世界3大レースの一つ「ル・マン24時間耐久レース」では15年に廃止されていますし、世界的な流れなのかもしれません。

 ただやっぱり私は選択肢を狭めるんじゃなく多様性を大切にできればと思います。そもそもモータースポーツ界が圧倒的な男性社会なんですよね。だからグリッドガールを廃止するというよりも、レーサーはもちろん、メカニックなどの整備士やチェッカーフラッグを振る公認審判員などモータースポーツ全体でもっと女性を増やすべきです。「カーレース=男性のもの」でなくなれば、「グリッドガール=男性のための見せ物」のような見え方、捉えられ方はしなくなると思いますし、性別や世代を超えた層が参画した時に初めて文化になるんじゃないかと考えています。私はレースクイーンとしてサーキットに足を運び、そこで初めて見たレースに衝撃を受けてカーレーサーを目指しました。同じように元グリッドガールでレーサーになった女性もいます。そういう意味ではグリッドガールもレースクイーンも、女性がモータースポーツに興味を持つ一つのきっかけにもなるんです。

――雇用条件を心配する声もあります

 これは日本の話になりますが、私がレースクイーンをやっていた1997~99年ごろは1日数十万円とたくさんお金ももらえましたが、今はノーギャラが多い。それでもこの世界で人気が出れば芸能人としてデビューできる可能性もあったりするので、タダでもやりたいという若い女性もいて。このあたりのことも双方にとっての良い道を探していく必要があると思います。

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