その政治家とは、政界のサラブレッドとして知られる現副総理で財務相の麻生太郎元首相(77)。自民党幹事長だった2008年の8月9日、麻生氏は龍宮神社を参拝。約1カ月後に第92代内閣総理大臣に選ばれた。

 同神社の6代目、本間公祐(きみひろ)宮司(50)は言う。

「その年は北海道洞爺湖サミットがあり、麻生氏が参拝された時はサミット並みの警備。麻生氏は絵馬に祈願をされた後、境内にイチイの木を植樹していかれました」

 神社は、旧幕臣で北海道開拓に尽くした榎本武揚(たけあき)(1836~1908)が1876年に建立した。榎本は戊辰戦争で明治新政府軍と戦い敗れるが、その時の新政府軍の中心人物は大久保利通。大久保は、麻生氏の祖母の祖父、つまり高祖父に当たる。麻生氏は榎本のことが長く心の片隅にあったらしく、「100年目の仲直りをしたい」と神社を参拝したという。

「昇り龍のごとく運気栄える龍宮の神さまの御利益ではないでしょうか。今ではそれにあやかりたいと、若い人を中心に、起業や試験の合格などのお祈りに来られる方が増えました」(本間宮司)

(編集部・野村昌二)

AERA 2018年1月15日号より抜粋

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野村昌二

野村昌二

ニュース週刊誌『AERA』記者。格差、貧困、マイノリティの問題を中心に、ときどきサブカルなども書いています。著書に『ぼくたちクルド人』。大切にしたのは、人が幸せに生きる権利。

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