また、網島教授が指摘した脱線防止ガードに関しては、「むしろ脱線を誘発する理由になる」と高木教授は別の見方をする。

「あくまで地震対策で作られたもので、車輪がレールからはずれないように幅は狭くなっている。仮にそこにモーターが落ちなくとも、ほかの部品が落ちる可能性は十分に考えられる。それがレールの間にはさまりこめば、車輪をはねあげる可能性もある」

 JR東海は、AERAの取材に対し、「あくまで地震を想定したもの」と答え、台車枠が折れるような事態は想定していない。東京―新大阪間は約550キロ。転倒防止ガードは上り線、下り線あわせて対象1072キロのうち、430キロ(11月下旬時点)で設置が終わっているという。

 JR東海は13日、問題となった台車と同じメーカーが同じ年に製造した台車30個を緊急点検したが、異常は見つからなかった。運輸安全委員会による調査が進められている。

 高木教授はこう指摘する。

「早期の調査が待たれますが、今回の台車枠は、何らかの微小亀裂が検査をすり抜けていたと考えられ、検査体制の強化は必須とみられます。かつてはJR幹部が『我々は東日本旅客鉄道株式会社ではなく、鉄道修理株式会社だ』と言うくらい、保守点検にお金と時間をかけていた。昨年の東武鉄道で起きた脱線事故では亀裂箇所が検査箇所から外れていました。電子機器類などは逆に検査し過ぎると不具合を起こすこともありますが、台車枠のような摩耗するようなものは別。今回、どのような検査が行われていたかは注目です」

 また、網島教授はこんな指摘もする。

「背景には人手不足もあるだろう。人手がかけられないとなったら、自動化するか、簡素化するか、そのいずれかになります。車両を止めずに床下の異常を確認できるシステムなどの構築も必要と考えます」

 年末年始の帰省ラッシュで多くの人が新幹線を利用する。一日も早い原因の究明が求められる。(AERA編集部・澤田晃宏)

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