「ずっと走ってきたんで。ちょっと振り返ってもいい年になったのかな」

 約2年ぶりとなる53枚目のシングル「軌跡」が12月3日に発売される。

 このテーマを授けたのは、所属するジャニーズ事務所ジャニー喜多川社長。「芸能とレースの二足のわらじで刻んだ深い轍を表現してみろ」と背中を押された。事務所の「長男」としても、レーシングチームのオーナー兼監督としても、確かな地歩を固めたことへのねぎらいとも受け取れる。

 1970年代に脚光を浴びた「ベイ・シティ・ローラーズ」のテイストが濃厚な新曲は、再評価の機運をいち早くつかんだ自身のリクエストで実現。作詞を手掛ける松井五郎がレコーディングに立ち会い、等身大の近藤に合う歌詞に練り直したという肝いりの一曲だ。

 柔和な笑顔。周囲を威圧することなく貫かれたこだわり。まっすぐ歩いてきた自信が、近藤の貫禄につながっているのだろうか。年輪を刻むのが楽しみなスターだ。(編集部・渡辺豪)

AERA 2017年12月4日号

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渡辺豪

渡辺豪

ニュース週刊誌『AERA』記者。毎日新聞、沖縄タイムス記者を経てフリー。著書に『「アメとムチ」の構図~普天間移設の内幕~』(第14回平和・協同ジャーナリスト基金奨励賞)、『波よ鎮まれ~尖閣への視座~』(第13回石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞)など。毎日新聞で「沖縄論壇時評」を連載中(2017年~)。沖縄論考サイトOKIRON/オキロンのコア・エディター。沖縄以外のことも幅広く取材・執筆します。

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