日経平均は約26年ぶりの高値となった(AERA 2017年11月20日号より)
日経平均は約26年ぶりの高値となった(AERA 2017年11月20日号より)

 兜町はバブルに浮かれ出したのか。日経平均株価はあっさりと「バブル崩壊後高値」を更新し、11月7日には1992年1月9日以来、約25年10カ月ぶりの高値だ。それでも「日本株のPER(株価収益率)は15倍台、89年のバブルピーク時の70倍にはほど遠い。まだまだ割安」と大手証券幹部は一層の株高を煽る。

 暴騰の主役は外国人投資家だ。「9月上旬まで日本株を売り越していた外国人投資家が安倍・自民大勝で一斉に買いに転じた。政治ファクターに敏感な彼らにとって日本は最も政治的に安定した国。“アベ買い”が市場のコンセンサス」という。さらに好調な企業業績、世界同時好況、金融緩和の継続という3点セットが揃い、2万4千円台乗せも近いと見られている。

 だがそんなユーフォリアは永遠には続かない。折しも11月は北海道拓殖銀行、山一証券が相次いで経営破綻した97年の金融危機から20年の節目。大暴落はある日突然訪れる。

 一方で「官製相場」との見方も依然根強い。牽引するのはGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)を代表とする機関投資家の、俗にいう「クジラ買い」だ。ある市場関係者は言う。

「午前中に日経平均が下落すれば、必ず日本銀行によるETF(上場投資信託)の買いが入る」

 日経平均などの指数に連動するETFを年間6兆円買い入れる方針を表明した日銀は、株価が軟調になれば買いに回る。これが市場に安心感を生み、株価上昇へとつながる好循環を生んでいるのだ。

 ただ、日銀の布野幸利審議委員は8日、宮崎市内での講演で、株価について「PERが低いレベルにとどまっており、過熱状態にはない」とバブルを否定する一方、「日銀が買って株価を上げたということは事実としてない」と指摘。株高は世界経済の回復や投資家の動向、好調な企業業績を強く反映したもので、日銀によるETF買い入れについても「現段階で変更の必要性は感じない」と語っている。

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