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米国発・日本人創業のワクチン開発ベンチャー、日本へ“逆輸入”

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長倉克枝AERA

VLP Therapeutics/2013年、米メリーランド州で設立。赤畑渉さん(右から2人目)が開発した技術をもとに、感染症予防やがんの治療のためのワクチンの開発を手掛ける(写真:赤畑渉さん提供)

VLP Therapeutics/2013年、米メリーランド州で設立。赤畑渉さん(右から2人目)が開発した技術をもとに、感染症予防やがんの治療のためのワクチンの開発を手掛ける(写真:赤畑渉さん提供)

 日本は起業に向かない国だ、と言われることは少なくない。起業意欲が低く、支援も不十分。それなら、環境が整っていて市場も大きい海外でビジネスしよう。そう考えた人たちがいる。彼らが“逆輸入”されるケースも出てきた。

 米ワシントンDCに隣接するメリーランド州は、バイオテクノロジー企業が多く集まる地域だ。国立保健研究所(NIH)やジョンズ・ホプキンズ大学、メリーランド大学など、この分野の研究開発に強みを持つ大学や機関も多い。

 ここに本社を置く創薬ベンチャーVLP Therapeuticsが、いま、日本の官民ファンドや日本人投資家から、多額の助成や投資を得ている。

 2013年設立のVLP社が手掛けるのは、デング熱などのワクチンの開発。これまでは、NIHや国防総省といった米国政府機関から助成を受けていた。昨年からデング熱ワクチンの開発で助成する日本の官民ファンド、グローバルヘルス技術振興基金のディレクター、鹿角契さん(35)によれば、審査委員たちが評価したのは技術力。

「安全性が高く、ワクチンの効果が期待できるという点が非常に高く評価されました」

 一般的なワクチンでは、病原体を弱体化させたり殺したりしたものが抗原。だが、VLP社がつくるワクチンは、人工的に作った微粒子に病原体の特定の部位だけをくっつけたものが抗原。抗体を作らせる効果と安全性の両方を兼ね備えている。

 注目すべきは、創業者が日本人だということだ。

 創業者でCEOの赤畑渉さん(44)は、東京大学を卒業後、京都大学で博士号を取得。その後渡米し、NIHワクチン研究センターの上席研究員として、この微粒子を使ったワクチンを開発した。研究ひとすじできた赤畑さんだが、日米で2社の製薬会社を創業し上場させてきた上野隆司さん(63)、久能祐子さん(62)と出会い、自身が開発したワクチンの実用化を進めるために起業を決意。2人を創業メンバーに加え、デング熱のほかマラリア予防やがん治療のためのワクチンの開発を進めている。

 日本ではダメだったのか。


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