いまもトランプ大統領と安倍晋三首相の関係は蜜月で文在寅(ムンジェイン)大統領とは距離があります。そういう中で北朝鮮問題がより煮詰まってきているのです。日韓関係に隙間風が吹く中、北朝鮮側は平昌(ピョンチャン)オリンピックに参加する可能性もあります。そうなれば南北のムードはかなり変わってくるでしょう。

 国難の北朝鮮問題について与野党そろって議論する必要があるのに、臨時国会の見通しは立たないばかりか政府・与党は野党の質問時間の削減を要求しています。東アジアで戦闘が始まれば、日本も戦場になる可能性もある中で、トランプ大統領が先制攻撃に近い発言をした場合、安倍首相はそれを支持するのでしょうか。6日には共同声明のようなものが発表されるでしょう。国民はしっかりと耳を傾けなければいけません。

AERA 2017年11月13日号

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姜尚中

姜尚中

姜尚中(カン・サンジュン)/1950年熊本市生まれ。早稲田大学大学院政治学研究科博士課程修了後、東京大学大学院情報学環・学際情報学府教授などを経て、現在東京大学名誉教授・熊本県立劇場館長兼理事長。専攻は政治学、政治思想史。テレビ・新聞・雑誌などで幅広く活躍

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