「販売・サービス職の求人を多く扱っていますが、そもそも『お世話になります』から始まるような形式的なビジネスメールに慣れていない方も多いんです」

業務メールになじみが薄い転職希望者の場合、日常的に使っているLINEなら返信も早い。同じくキャリアアドバイザーの諸星陽美さんは、

「LINEでつながった転職者とは信頼関係がしっかり築けるメリットがあります」

 という。本当に今の仕事を辞めていいのか、書類は出したもののやっぱり面接はやめようか……転職者の心は不安定になりがちだ。心の機微をとらえるのにメール時代は苦労したが、LINEになってからは自ら伝えてくれる人が多くなったという。

 きめ細かい対応はスムーズな関係構築につながり、転職の成功へと結実する。

 江崎さんはLINEの使いこなしについても日々情報収集を欠かさない。よく使うのは「スタンプ締め」と呼ばれる技。

「メッセージで終わらせるとポップアップで内容を把握し、開いてもらえないこともあるので、なるべく最後にスタンプを送信するんです」

 相手には「○○がスタンプを送信しました」とだけ表示されるので、気になって開いてもらえるという仕組みだ。

 距離の詰め方や心をつかむLINE術。これらが「勝てる営業」の必須スキルになりつつある。(編集部・高橋有紀)

AERA 2017年10月30日号より抜粋