支持できる政党がない。魅力ある政治家がいない──。政治への関心の低さが反映された形だが、昨今、欧米での国政選挙では、既得権益層に反発し、既成政党を支持できない人たちが、それでも投票に行き、新たな候補者や政党を選び、突き上げることで政権交代の風を呼び起こしてきた。主役の有権者が選挙に行くことで力を発揮するからこそ、各政党が持つ組織票や固定票だけでは勝利を予想できない緊張感が政治に生まれる。そうなれば、首相も簡単に解散権を行使することは、「恐ろしくて、できなくなる」(片山氏)。

 今回の総選挙では、分かりやすくなったこともある。安倍自民が中心の現政権と小池新党が軸の新勢力の対立で割れた「保守」に対し、民進党から保守派がいなくなってできた立憲民主に共産や社民が連携する「リベラル」。安保・憲法論などの政策ベースでは決して交わることがない、すっきりした2極構図になったからだ。

 それでも投票先が見つからない場合、どうすればいいか。片山氏は語る。

「絶対の選択はなかなか難しい。ベストが難しいならベターな候補者。レスバッド(less bad)ないしレスワース(less worse)。悪さ加減の一番低い人を選ぶ。消去しながら選ぶことを繰り返すことで、徐々に政治のレベルが上がっていきます」

(編集部・野村昌二、山本大輔)

AERA 2017年10月23日号より抜粋

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野村昌二

野村昌二

ニュース週刊誌『AERA』記者。格差、貧困、マイノリティの問題を中心に、ときどきサブカルなども書いています。著書に『ぼくたちクルド人』。大切にしたのは、人が幸せに生きる権利。

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