「蛇の補題」について説明する菅原響生君。「謎を作るのも好きです」と言い、謎検(日本謎解き能力検定)準1級も持っている(撮影/岡田晃奈)
「蛇の補題」について説明する菅原響生君。「謎を作るのも好きです」と言い、謎検(日本謎解き能力検定)準1級も持っている(撮影/岡田晃奈)

 ノーベル賞で授賞者の異能や天才が注目されているが、日本にも若き異能がいる。最年少で数検1級合格を果たしたという中学生を取材した。

 昨年、最年少で実用数学技能検定(数検)1級に合格したのは、千葉市立幕張本郷中学に通う3年生、菅原響生(ひびき)君(14)。当時の問題用紙を開きながら楽しそうに言う。

「例えば、この問題はロピタルの定理という大学数学で使うテクニックを使うことで簡単に計算できます」

 数検1級は理系大学レベルの水準だ。解析、線形代数、確率統計、数値解析などの分野から出題され、昨年の合格率は7%という難関。これまでの最年少記録を1歳更新した。

「難しい証明問題があったので、まさか最年少合格だとは思っていませんでした」

 1歳の時、おもちゃとして計算機を欲しがり、2歳の時には、車のナンバープレートの数を足し引きして「10」を作って遊んだという。小学2年の時、サンタクロースに関数電卓をもらった。

「関数電卓って、普通の計算だけじゃなくて簡単な方程式なども解くことができるんです」

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野村昌二

野村昌二

ニュース週刊誌『AERA』記者。格差、貧困、マイノリティの問題を中心に、ときどきサブカルなども書いています。著書に『ぼくたちクルド人』。大切にしたのは、人が幸せに生きる権利。

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