なぜ日本人は「イグ・ノーベル賞」で強いのか “笑える研究”で11年連続受賞 (3/3) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

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なぜ日本人は「イグ・ノーベル賞」で強いのか “笑える研究”で11年連続受賞

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福光恵AERA
ブラジルの洞窟にすむトリカヘチャタテの雄雌逆転した交尾の様子(写真:北海道大学・吉澤和徳准教授提供)

ブラジルの洞窟にすむトリカヘチャタテの雄雌逆転した交尾の様子(写真:北海道大学・吉澤和徳准教授提供)

●キテレツでレアな研究

 同時に、まさに「この人がやらなければ、誰もやらない」ような、キテレツでレアな研究も多く受賞している。例えば12年に音響学賞を受賞した、おしゃべりな人を黙らせる装置「スピーチ・ジャマー」とか。

 こちら、おしゃべりな人の話した声を、数百ミリ秒遅れで本人に聞かせ、おしゃべりをやめさせるという原始的な仕組みの装置。実際に取材でスピーチ・ジャマーを試したことがあるという、編集部の女性記者が証言する。

「本当に、おしゃべりがやみました」

 ほかに「バナナの皮を踏んだときの摩擦を計算した研究」(14年)や、「股のぞき効果の実験」(16年)も、たしかに考えさせられる。

「笑えるだけでなく、きちんとサイエンスの手順も踏んでいる。科学的にもおもしろい研究ですね」(詫摩さん)

 そして今年、日本人で栄えある「10兆ジンバブエドル」を獲得したのは、北海道大学の吉澤和徳准教授、慶應義塾大学の上村佳孝准教授と海外の研究者のチーム。雌が、雄のペニスのような器官を持つ「トリカヘチャタテ」という昆虫の研究で受賞した。

「『ペニスとは雄の交尾器のこと』と記されている辞書を書き換えるかもしれない発見」(前出の山本さん)と注目されているという。

 また吉澤准教授らの観察で、この虫は、雄がやってくるのを待つのではなく、雌のほうから雄の上に乗って器官を挿入し、精子を受けとることや、一度入れたら簡単に抜けない逆トゲでがっちりロックして、40~70時間という長時間、交尾し続けることもわかった。

「彼らが住むブラジルの洞窟は、コウモリの糞くらいしか取り入れられる栄養分がない。そのため、交尾のときに雄が雌に精子とともに送る栄養分が産卵のためには貴重。そこで雌が進んで交尾するようになったと考えられています」(同)

 栄養分をジュエリーやバッグに置き換えると、肉食女子の「あるある」が満載! 

「性差とは何かを人に考えさせるきっかけになったことも評価され、この研究が受賞したということです」(同)

 十分考えさせられました。ありがとうイグ・ノーベル。

(ライター・福光恵)

AERA 2017年10月16日号


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