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サブカルチャーは反権力って本当?――文化と政治の新たな潮流

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野間易通AERA

ロックは「意識高い系」か(※写真はイメージ)

ロックは「意識高い系」か(※写真はイメージ)

 今年6月、ヒップホップの世界では、ラッパーのSKY-HIが共謀罪法案成立直後に、「キョウボウザイ」という曲を緊急リリースした。リリースといっても、ユーチューブにアップロードしたのである。エイベックスという大手レコード会社でAAA(トリプルエー)というアイドル的なパフォーマンスグループに所属する若いミュージシャンとしては異例のことだった。現代におけるヒップホップのポテンシャルを見せつけられた思いがした。

●ロックは「意識高い系」か それともドロップアウトか

 カウンターカルチャーを体現する音楽は、日本では長らくロックだった。しかしフジロックフェスティバルに「政治を持ち込むな」という声が上がってしまうように、ロックもまたノンポリティカルなものとして受容されているのが現状だ。

 ソウル・フラワー・ユニオンは1990年代からアイヌや沖縄の基地の問題等に深くコミットし、政治的なバンドと見なされてきた。しかしリーダーの中川敬はこう言う。

「なぜほかのミュージシャンは中川さんのように政治にかかわろうとしないんですか?って聞かれるんやけどね。いやむしろ逆で、ロックってもともと社会からドロップアウトしたようなやつの音楽でしょ。いろんなアートの中で、音楽だけが特に意識が高いっていうこともありえないんよ」

 現在51歳の中川は子どもの頃、歌謡曲少年だった。そんな彼が10代で初めてロックを聞いたとき「ラブソング以外もうたっていいのか」と驚いたという。つまり彼にとってロックは政治のことや社会のことなど「うたいたいことをうたえる音楽」であり、それこそが彼を夢中にさせたロックのカウンターカルチャー性であった。いまでいうところの「意識高い系」である。

 しかし彼がいま同世代の大御所ミュージシャンたちや業界人と交流していると、ことさらに政治のことだけに触れない空気を感じるという。これはEMMAが感じていたイラ立ちと同じだ。


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