西村義明が指摘する「となりのトトロ」が描いた絶望 横山だいすけ×西村義明対談

2017/06/25 11:30

●ヒントを伝える機会

横山:僕は2歳から小学校に上がるころまでの年齢の子たちにこそ、上っ面じゃない本物の音楽を、と思っています。「生」を聞かせてあげたいし、いろんなところにこだわりたい。「子どもにはわからない」と言われることも多いんですが、大人が本気でやらないと、子どもたちは「本物かどうか見極める力」を養うこともできませんから。

西村:あらゆる世代の心を打つ作品があるとしたら、大人にとって子ども時代の記憶を喚起されるもの。忘れたと思っても残っているんです。特に歌にはその力がある。僕らの世代は「パタパタママ」や「コンピューターおばあちゃん」を聞くと当時の景色をワッと思い出します。だいすけさんはそれをやってこられたし、やっていこうとされているから、尊敬してます。

横山:子どもの心を忘れない。だからこそいまの自分があるんだということを、ケストナーはこの小説にちりばめていますよね。「社会は甘くない」と思うことが多すぎるけど、本当に壁にぶつかったときにポジティブでいるためには、子どものころにそのためのヒントを大人が渡してあげないと。ヒントを伝える機会をいかに作るかが重要だなって思います。その機会の一つが本を読んだり、映画を見たりすることなんじゃないかって。

西村:僕もそう思います。

横山:ケストナーは『飛ぶ教室』の中で親の貧しさや絶望を描いて、子どもに試練を与えていますけど、僕ら大人は子どもたちに、この本を読むきっかけを作ってあげられる。僕の場合は母親がきっかけでしたけど、この本も大好きなジブリの作品も、いまも僕の心に残っている。次は自分たちの世代が、そういうものを残していかないと。

(構成/AERA dot.編集部・金城珠代)

AERA 2017年6月26日号

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