愛してやまない政治家は石原慎太郎元都知事。石原氏は過去に同性愛者について「どこか足りない感じがする。遺伝とかのせいだろう」と発言し大きな批判を浴びているが、

「親戚のおじさんに『お前そろそろ身を固めろ』と小言を言われてるようなもんでしょう。全く気になりません。それより、アメリカや中国への強気な外交発言、属国ではない強い日本をつくっていくという魂の部分で共鳴しているんです」

 と意に介さない。選挙ではもちろん維新に投票している。

 Bさんには互いの両親に紹介済みの恋人がいる。2人とも収入が安定しているため生活に不安はない。だから、同性婚をする必要はないのだという。

「同性婚の法制化に反対ではないですが、逆になぜリベラルが婚姻という古い家族のかたちにこだわるのか理解できません。ある意味、結婚=社会保障。貧困問題に直面しているレズビアンの人たちの助けにはなると思います」(Bさん)

自民党特命委の狙いは

 日本の性的少数者に対する支援策は遅々として進んでいない。同性婚が認められていないのはもちろん、差別的な扱いを禁止、解消する制度もない。東京都渋谷区など六つの市区町村で導入されている、いわゆる「同性パートナーシップ条例」も法的・制度的な保障ではなく実効力に疑問が残る。

 自民党の中で、今この問題に積極的に取り組んでいるのが「性的指向・性自認に関する特命委員会」だ。2016年2月、稲田朋美政調会長(当時)の指揮のもと設置された。

 稲田氏がこの問題に興味を持ったきっかけは15年、サンフランシスコで慰安婦像設置の動きを視察中、総領事館の関係者から、日本を最も支持してくれたのが現地のLGBT団体だったと聞いたことだった。

「性的少数者の中にも保守派はいる。イデオロギー闘争と結びつけて考えてはいけない」

 と考えるようになったと後の取材で語っている。

 16年春、民進党など野党4党は「差別解消法案」を衆院に提出、自民党の特命委員会は「理解増進」のための法案概要をまとめたが、いまだ党内での合意ができず、国会提出には至っていない。

 特命委員会・現事務局長の宮川典子議員は言う。

「LGBT当事者の方からは、法整備をしなくていいとか、問題を顕在化しないでほしいという声もあります。それに、法律で差別を禁止したからといっていじめはなくなりません」

 一方で、民主党時代からこの問題にいち早く取り組んできた民進党の細野豪志議員は、

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