レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーの頭文字をとってLGBT。性的マイノリティーを表現するために生まれ、定着しつつある言葉だ。しかし、本当にまっすぐ理解されているのだろうか。LGBTとひとくくりにすることで周知は進む一方、さまざまな思いや抱える悩み、課題など、一人ひとりの「個」が塗りつぶされてはいないか。雑誌AERA6月12日号のテーマは「LGBTフレンドリーという幻想」だ。
LGBTをメディアがどう扱ってきたかを取材した特集「おネエしかいらない」では、KABA.ちゃんのインタビューを紹介している。
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この世界にいるとオネエでもそうでない人でもいじられるのが自然な流れなので、テレビでの扱われ方でイヤだなと思ったことは正直ないです。知人のMtFに「面白おかしく扱われているのを見るのはイヤだ」と言われたこともありますが、出演者もお仕事で演じているということをわかってと伝えたことも。オネエというくくりを嫌がる人もいますが、私はメディアに出るということはそういうリスクも伴うと割り切っています。
ただ、自分が戸籍も女性になった時にあるスタッフから「扱いづらくなった」と言われた時にはがっかりしました。だったら、女性になったと言わないほうがよかったわけ? オネエなら面白おかしく扱えても女性になったら扱いづらくなる、というのも変な話ですよね。まだメディアの世界は柔軟じゃないと感じさせられました。
ダンスボーカルユニット「dos」でデビューした時は男としてのファンもいるからという事務所の方針でセクシュアリティーについては伏せ、その後も俳優の勉強をしていて「役に制約が出る」とカミングアウトはできませんでした。でも自分を隠したくないという気持ちもあり、タモリさんに背中を押される形でテレビ収録中にカミングアウト。出演者も、そして何より家族もみんな温かく笑って受け入れてくれたことに救われました。
男性、女性、LGBTと分けるのではなく、特別視せず一つの個性と受け入れてもらえるのが理想の形。普通に扱ってくれればいいんですよね。私を見て「世の中にはこういう人もいる」と思ってくれたらうれしいです。聞かれればどんなことでも隠さず言おうと思っています。(談)
(構成/編集部・福井洋平)
※AERA 2017年6月12日号