「一人一人が国を支える柱だという考えをもってもらい、自分を大切にし、その上で自分の国も愛してもらいたいという趣旨で会を運営しています」

 日本会議には属しておらず、国柱会としての日本会議の活動への動員は行っていないという。署名集めなどの協力要請があれば、ものによっては協力する程度だという。

「私が代を継いでからは、政治的な色は出していません。あまりそういうことにはかかわりたくない。ただの墓守ではないかと批判を受けることもありますが、朝拝、勤行(ごんぎょう)、夕拝など日々祖先や国に祈りを捧げることが自分の本分だと思っています」

 英国への留学経験があり、海外に友人を多く持つ壮谷氏は、「差別はあってはいけないことで、ヘイトスピーチはすべきではない」と言い切る。

「『八紘一宇』という言葉も、そもそもは法華経を中心にしたユニバーサル・ブラザーフッド(四海同胞)ということ。排他的であってはならないと思っています」

 右翼、左翼を問わず高齢化が進んでいる現在、国柱会も例外ではない。熱心な信者は80代、90代が多く、世代交代で信仰心が薄れ、寺の住職と檀家のような関係になりがちだという。

「高齢者には、後世に自分が大切だと思うことを伝えていってほしいです。右、左にかかわらず、そうしてほしい。皆が同じベクトルになるというのも怖いもので、議論をするということは大切だと思うんですね」

●右傾化いい傾向でない

 右傾化と言われる日本の現状を、国柱会の関係者はどう受け止めているのか。60代の男性信者はこう言う。

「戦後、あまりに左傾化していたから、今度は右傾化しているのでしょう。しかしどちらかに傾くというのは、結局いい傾向ではないですね。それに、バックボーンとして思想的なものを持っている人は少ないんじゃないですか」

 国柱会の場合、信者の政治的な立ち位置は一様ではない。

「政治的な行動は個人の自由ですから、共産党を支持する人までいたはず。政治的には幅が広いですね」(男性信者)

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