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共謀罪で司法は歯止めにならない 元高裁判事が語る

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by 作田裕史 (更新 )

「共謀罪」法案の審議入りで衆院本会議に臨む安倍晋三首相と、金田勝年法相(左)。金田氏はかつて大病したこともあり、政府与党内に大臣答弁への不安が広がっている (c)朝日新聞社

「共謀罪」法案の審議入りで衆院本会議に臨む安倍晋三首相と、金田勝年法相(左)。金田氏はかつて大病したこともあり、政府与党内に大臣答弁への不安が広がっている (c)朝日新聞社

木谷明(きたに・あきら)さん(79)/元東京高裁判事、弁護士/30件以上の無罪判決を出し、全て無罪確定となった伝説的な裁判官(撮影/植田真紗美)

木谷明(きたに・あきら)さん(79)/元東京高裁判事、弁護士/30件以上の無罪判決を出し、全て無罪確定となった伝説的な裁判官(撮影/植田真紗美)

 治安維持法の復活と警戒され、3度廃案になった「共謀罪」法案。「テロ等準備罪」と表紙を変えて再登場した。元高裁判事は、権力に弱い「司法の忖度」を危ぶむ。

 今回の法案が通れば、「テロ等準備罪」という名のもとに、277もの罪が創設されます。これは、新たな捜査手法の拡大につながります。

 たとえば、現行の通信傍受法でテロの計画、準備行為への捜査が不十分となれば、捜査機関は「もっと新しい捜査手法が必要だ」と主張する。今回のような新たな犯罪を処罰する法律ができた後では、「すでに法律があるのに処罰できないのはおかしい」という論理が通用しやすくなります。捜査手法はどんどん拡大する恐れがあり、そうなれば、日本は完全な監視社会になってしまいます。

 元東京高裁の判事で、弁護士の木谷明氏(79)はこう指摘する。

●テロ関連は半分以下

 4月19日、犯罪の計画段階で処罰する「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ「組織的犯罪処罰法改正案」の実質審議がスタートした。「共謀罪」は小泉内閣の2000年代に過去3回も廃案となったいわくつきの法案。日本の刑事法は、犯罪を実行しようと具体的な行動を起こした時点で罪に問うことが原則だった。「共謀罪」は、複数人で犯罪をしようと合意した段階で罪に問うもの。かつての治安維持法のように、「思想や内心を理由に処罰される可能性がある」ことから、野党が激しく反発して廃案となってきた。

 今回、その批判を避けるために安倍政権は対象犯罪を原案の676から277に絞り、「テロ対策」を強調。安倍晋三首相は「従来の共謀罪とはまったく違う」と繰り返し、「3年後には東京五輪・パラリンピックを控え、テロ対策に万全を期することは開催国の責務だ」と、法案の必要性を訴えてきた。

 だが、対象の277の犯罪のうち、「組織的な殺人」「ハイジャック」などテロの実行に関連するものは、110にとどまる。一方で、「著作権法違反」「保安林での森林窃盗」などテロや組織的犯罪集団とは無関係に見える犯罪も含まれている。依然として、捜査の適用対象に曖昧さが残る。木谷氏は「本質的には過去に廃案となった共謀罪と変わらない」と語る。


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