上から、鉄道博物館、リニア・鉄道館、京都鉄道博物館。本州のJR3社が手がける、鉄道博物館。ワクワクする世界が広がる
上から、鉄道博物館、リニア・鉄道館、京都鉄道博物館。本州のJR3社が手がける、鉄道博物館。ワクワクする世界が広がる

 本州のJR3社に昨春、鉄道博物館がそろい踏みした。東日本は0系、東海はリニア、西日本は動くSL。それぞれの個性が競い合い、鉄道の魅力を発信する。

【写真】わくわくドキドキ!大人もはまる鉄博の世界

 黒光りする巨大な蒸気機関車(SL)、ブルートレイン、大正時代に製造された通勤型電車。1階の「ヒストリーゾーン」に足を踏み入れると、全国各地で活躍した電車や列車など36両が目に飛び込んでくる。ゾーンの奥には、「団子っ鼻」の愛称で親しまれた0系新幹線があった。

「ポーーー!!」

 正午、C57形SLの汽笛が館内に響き渡ると、子どもたちから歓声が上がった。ヒストリーゾーン中央の転車台に載った、その流麗なSLはかつて「貴婦人」と呼ばれていた。

 JR東日本の「鉄道博物館」。2007年10月、同社の創立20周年記念事業のメインプロジェクトとして、鉄道の街、大宮駅にほど近いさいたま市大宮区にオープン。年間の来館者数は約80万人にもなり、「鉄博」の愛称も定着した。

●10周年でリニューアル

 館内には、往年の名列車以外にも、国内最大級の鉄道模型のジオラマ、世界で初めて導入することになったSLのシミュレーターと、まさに鉄道ワンダーランド。この鉄博で今、開業10周年を記念して、来年夏を目指したリニューアル作業が進む。

 同館の大信田尚樹(おおしだまさき)館長は言う。

「従来の鉄道博物館は、車両展示が主体でした。リニューアル後は、鉄道が多くのサービスと技術の集合体で成り立っていることをお見せする博物館として生まれ変わりたい」

 改装第1弾として3月18日にお目見えしたのが「DD13形式ディーゼル機関車」。かつて操車場や駅で列車の入れ替え作業に使われた。日本のディーゼル機関車の発達の礎を築いた名機関車の一つだ。今後、ヒストリーゾーンは「車両ステーション」に名前を変える。鉄道を楽しく学べたラーニングゾーンは4月27日、科学の視点から鉄道を学べる「科学ステーション」に生まれ変わる。

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野村昌二

野村昌二

ニュース週刊誌『AERA』記者。格差、貧困、マイノリティの問題を中心に、ときどきサブカルなども書いています。著書に『ぼくたちクルド人』。大切にしたのは、人が幸せに生きる権利。

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