改装後の目玉の一つが、本館2階のジオラマだ。7月半ばの完成を目指し、作業が佳境に。

 プロジェクトを担当する、同館の岩見隆則さんは胸を張る。

「以前あったジオラマを解体して、新しいコンセプトで作り直しています」

 幅25メートル、奥行き約9メートル。広さは改装前とほぼ同じだが、これまで以上にリアリティーを追求。周回する新幹線や在来線など計15路線のレールの総延長は1200メートル。そこを、車両をつないだり離したりする「分割併合」する新幹線や、充電して走る蓄電池車も走る。それまで客席とジオラマを仕切っていたガラスを取り払い、臨場感も出す。レール側面をサビ色に塗装し草むした感を出す工夫も。

 18年夏には、本館に隣接した新館が完成する。地上4階で延べ床面積は約6千平方メートル。鉄道の様々な職種を紹介する「仕事ステーション」、鉄道技術の移り変わりを紹介する「歴史ステーション」、30年後の鉄道を想像する「未来ステーション」の、三つのステーションで構成される。

「新館の4階はフードコート。走る本物の新幹線をちょっと下に見おろしながら、食事を楽しめます」(岩見さん)

 同館で出色なのは、収蔵された鉄道に関する品々。その数、約67万点と群を抜く。小は乗車券から大は車両まで。勝海舟が墨で描いたとされる蒸気機関車の絵や、大隈重信から伊藤博文に宛てた文書を含む鉄道古文書(国指定重要文化財)といった貴重な史料も少なくない。

 学芸員の香月(かつき)良太さんが言う。

「博物館として大切なことは、鉄道の歴史や人々の暮らし、技術の発展、変遷をみなさまにお伝えすることが一つ。もう一つが、それを50年、100年と、後世まで語り継いでいくことだと思います」

●スピードにこだわり

 名古屋駅からあおなみ線で約25分、話題の「レゴランド・ジャパン」の近くに、JR東海の鉄道博物館「リニア・鉄道館」はある。名古屋市の金城埠頭開発計画に参画し、11年にオープンした。毎年約50万人が訪れる。

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