子どももよくなつくようになり、家族にとってスタッフは、もはや“第三のお母さん”的存在だ。スタッフも「自分の家族みたい。主婦のキャリアをフル活用でき、人生の集大成の仕事です」と胸を張る。

 同社によると、掃除や料理代行などを合わせたサービス利用件数は、創業17年で150万件を突破。約半数が先の男性のような共働き家庭で、残り半数を専業主婦、一人暮らし、高齢家庭がほぼ同割合で占める。とりわけ「3.11」後に利用者が急増。高橋ゆき副社長は「どんな価値観を人生に見いだせばいいか、そこに向き合った結果、『自分でなければできない生き方』に集中したい人が増えてきたのでは」と分析する。同社が家事監修を手掛けたドラマ「逃げ恥」効果でさらに拍車がかかっている。

●自分でひと手間に支持

 テーブルには自分で作った料理を並べたい。でも、献立の考案や買い物は大変。ならば、そこだけ「外注」する手もある。

「おやさいがおいしかった!」。「ふわり鶏団子のトマト煮」と、「即席コールスローサラダ」を食べた子どもたちが感想を口にする。1月21日、インターネット食品・食材宅配「オイシックス」の東京本社で、メニュー審査会が開かれた。

 試食は「Kit Oisix(キット オイシックス)」で発売中のメニュー。主菜と副菜の材料がレシピと共に梱包され、宅配便で届くセットだ。「20分で作れる」がコンセプトで、1セット(2人前)980円から(税抜き)。野菜を常に5種類以上使い、必要な分量だけ水洗い・梱包。鮮度の落ちにくい食材はカット済みだ。

 審査会に参加した川崎市在住の会社員の女性(34)は、週に4~5セットを利用するという。レシピが簡単で、夫に調理を頼むこともある。

「夫にイチから生姜焼きを作って、なんて頼むのは絶対無理。でもキットなら大丈夫」

 家事負担が減ったぶん、平日に息子(4)とピアノを弾いたりしてくつろぐ余裕が生まれた。料理に対する夫のハードルも下がった気がしている。

 各社がしのぎを削る食材宅配業界で、2013年夏の販売開始以降、キットは累計450万個を突破。サービスの責任者、菅美沙季さんは「自分でひと手間加える点が広く支持されているのではないか」とみている。

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