「タスカジ」考案者で運営会社社長の和田幸子さんは「依頼者もハウスキーパーも、どちらも人生を積極的に生きる人たち。前向きな取引が促進される場でありたい」と意気込む。

●市場は全国的に拡大

 2月16日、経済産業省の「家事支援サービス認証制度」が始まる。利用者が安心してサービスを使えるための環境整備として、「安心」「安全」などを生み出すための仕組みや運営がなされているかを基準化し、それを満たした企業に認証マークが授与される制度だ。全国家事代行サービス協会と日本規格協会が運営を担う。前者の会長の山田長司さんは「信頼のおける業者を選ぶ基準になるし、業者側も審査基準を満たし続ける必要が生じ、業界全体の品質向上につながる」とメリットを強調する。

 山田さんが社長を務める「ミニメイド・サービス」は業界最古参。男女雇用機会均等法を経て、女性の働き方や家庭環境の変化を肌で感じてきた。そして「逃げ恥」。起業当初、「『カジの代行? 消防署の人?』と言われたのが嘘みたいです」と笑う。

 家事代行サービスは全国的に徐々に広がりを見せている。企業が社員の福利厚生として、法人契約で家事支援サービスを取り入れるケースも出てきた。市場は今後6千億円規模に拡大すると推計するデータもある。国家戦略特区では、いよいよ海外人材の受け入れも始まった。

 山田さんと共に認証制度の準備にあたったベアーズの高橋さんは、家事代行サービスを「日本の暮らしの新しいインフラ」と明言する。

「家事は愛がモリモリある時にする。心や身体に余裕がなければアウトソーシング。そんな新しいやり方で、自分を大切に生きるべきです」

(ライター・加賀直樹、坂口さゆり)

AERA 2017年2月13日号