宮城県では16年に県内に本店がある10金融機関と、「高齢者地域見守りに関する協定」を締結した。窓口や訪問先でお年寄りに接することの多い金融機関の職員が、認知症などが疑われる異変を感じた時に市町村の高齢者担当窓口に通報する仕組みだ。

●人の動きや室温を検知

「たとえば普段はきちんとしている方がパジャマ姿で窓口を訪れたり、郵便受けに新聞がたまっていたりするような場合に知らせてもらえれば適切な対処ができます」(宮城県担当者)

 高齢者と接する機会の多い金融機関は頼もしい存在ではあるが、人の手を介さない簡易な見守りサービスも数多く販売されている。インタープロの「みまもりステーション」は、お年寄りの自宅にセンサー機能を搭載したタブレット端末を設置することで人の動きや室温などを検知する。離れて暮らす家族のスマートフォンやパソコンでいつでも確認できるほか、一定時間動きがないとメールで連絡が来る。お年寄りから連絡できる通報ボタンもある。

●無料のサービスも

 車を運転する親なら、交通事故も心配だ。最近は高齢ドライバーが運転免許証を自主返納すると、自治体が企業と提携して様々な特典を提供する制度が広がっている。金融機関の預金金利が上乗せされたり、商店などでの割引といった内容が多いが、神奈川や大阪などではユニクエスト・オンラインの「小さなお葬式」の葬儀料金が割引になるユニークな特典もある。
 なかには無料で使えるサービスも。NTTドコモの「つながりほっとサポート」は、お年寄りが携帯を使うと自動で家族にメールで知らせてくれるサービスだ。携帯を使わなかった日もその旨や電池残量を知らせる定期メールが発信される。対応端末は限られるが、普段から携帯を使う親なら負担もなく、手軽に利用できるのがメリットだ。

 毎日親に電話をかけるのが一番いいのだろうが、忙しい現役世代には難しい。便利なサービスも活用しながら親を見守っていきたい。(ライター・森田悦子)

AERA 2017年1月23日号