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年7千億円も米軍に「思いやり」与える日本政府はどこまで優しい?

渡辺豪AERA#安保法制#集団的自衛権
神武寺駅には、周辺道路の渋滞を懸念する地元の声を受け、思いやり予算から約1億2千万円などを出して米軍専用改札口が開設された(撮影/写真部・馬場岳人)

神武寺駅には、周辺道路の渋滞を懸念する地元の声を受け、思いやり予算から約1億2千万円などを出して米軍専用改札口が開設された(撮影/写真部・馬場岳人)

●交付金にも基地を加味

 在日米軍に関しては「潜在的な負担」もある。米軍に無償提供している国有地の地代相当額(提供普通財産借上試算)だ。本誌では、これらに加え、日米地位協定に基づく米軍用地の民有地の借り上げ料や基地周辺対策費なども合算。今年度は7千億円を超えるのは必至だ。

 実はまだある。総務省所管の基地関連交付金だ。基地交付金、調整交付金を合わせて約355億円(15年度決定分)、普通交付税から基地負担分のコストを加味した傾斜配分として年間約161億円(同)も基地所在自治体を対象に支給されている。ただ、こうした交付額には自衛隊基地分も含まれていて、米軍基地分を仕分けできないため、グラフには上積みしていない。

 しかし、額の大きさだけが問題だと言いたいのではない。

 防衛省は15年11月に「再編関連特別地域支援事業補助金」を新設した。これは、名護市辺野古への普天間飛行場代替施設建設に同市の稲嶺進市長が反対しているため、条件付き容認姿勢を示す地元区に、市を通さず、振興予算を直接交付できるようにした制度だ。こうした米軍基地対策に特化した予算は、他国の軍隊が駐留することによる周辺住民の抵抗や反発を和らげるための「工作資金」といえる。川瀬教授は「基地を維持するための財政支出が、民主主義とは決して相いれないほど劣化している」と警鐘を鳴らす。

●損賠の義務も肩代わり

 日本政府はさらに、米国が「踏み倒した」分の経費も負担している。米軍機の騒音に対する民事訴訟で基地周辺住民の勝訴が確定した損害賠償金の支払いだ。日米地位協定18条は、米軍が公務中に与えた損害の賠償の負担割合を(1)米側だけに責任がある場合は「米側75%、日本側25%」、(2)双方に責任がある場合は「均等に分担」と定めている。防衛省によると、損害賠償の支払額は過去10年間に限定しても嘉手納(沖縄県)、普天間(同)、横田(東京都)、厚木(神奈川県)の各基地合わせて約181億円(遅延損害金を含む)に上り、全額日本側が負担している。日本政府は日米地位協定上、米側に支払い義務はあるとの認識だが、「分担のあり方については協議中」(防衛省)としている。

 日本はなぜ、それでも米軍をもてなし続けるのか。


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