日本私大教連書記次長の三宅祥隆さんは言う。
「私たちが実施した調査では、専任職員と非専任職員の比率は3対7から9対1まで、専任職員1人当たりの学生数も10人程度から100人弱までと、大きな開きがありました。人員不足感を強く訴えた大学はほぼ半数に上ります」
18歳人口の減少で学生の確保競争が激しくなり、オープンキャンパスや入試の通年化などが広がった結果、大学職員の業務量は増える一方。月当たりの残業が最長で100時間を超えたケースも複数報告された。
仕事量の変化に、組織づくりが追いついていない例もある。ある私大学生課に勤める女性(39)はこう話す。
「給与は高すぎず低すぎず、小さな職場で人間関係もよく、休みも取りやすい。正直、私はヒマなことが多いんです」
一方、キャリア支援課は職員が1人しかおらず、人員が慢性的に不足している。
「見かねて手伝うこともありますが、きちんと人を補充すべきなんじゃないかとも思います」
職員間の意識差が大きいケースもある。
「あ、そう。それはそれとして……」
別の私大入試課の男性(39)は、上司の決まり文句が出るたび、「またか」と思う。
●せっかくのやる気も
数年前、予備校から転職してきた。学生の進路指導や監督経験を買われてのことと考え、経験を生かせるとも思っていた。
ところが、上司は何もしたがらず、提案を聞き流すだけ。
「やってきたことを否定されたくないからなのか、慣習と前例に固執して、分析や意見は結局握りつぶされてしまう」
働き盛りの転職者たちの表情が徐々に暗くなり、やる気をそぎ落とされていくのを見てきた。
大学の体質に問題があると思う。トップは文部科学省からの天下りで、具体的な業務を知らず、指示を出そうとしない。