米国の多様性や移民の貢献が描かれた人気ミュージカル「ハミルトン」の18日の終演後、観劇に訪れていたペンス次期副大統領に向けて、舞台上から出演者が「この作品が米国の価値観を維持し、私たち全員のために働くきっかけになったと願う」と訴えたことにも即反応。「偉大なペンス氏に無礼だ。謝れ!」(19日)、「直ちに謝れ」(20日)などと計3回、怒りのツイートを連投し、物議を醸した。

●6割が個人発信に反対

 キニピアック大学(米コネティカット州)が22日に発表した独自の世論調査では、全米の有権者1071人のうち、59%がトランプ氏の書き込みを問題視し、個人アカウントの閉鎖を求めた。トランプ政権下の今後4年について90%が「楽観的」と答えた共和党支持者も、50%がツイッターによる個人的な情報発信には反対した。

 なぜ、トランプ氏はツイッターにこだわるのか。側近のケリーアン・コンウェー氏はCNNの番組で、「(メディアなどによる)雑音や沈黙を押しのけて、自らメッセージを直接伝えられる優れた方法」と意義を強調。発言内容の過激さを問われると、「自分の意見を述べてはいけないのか」と反論した。

 人間性が鏡のように映されるツイートの数々。人間くさいリーダーとしてファンが増える一方、大統領としての資質を重要視する人の嫌悪感は拡大していく。トランプ氏のツイッターが浮き彫りにするのは、米国内の分裂そのものだ。(編集部・山本大輔)

AERA 2016年12月5日号