●カギを握るのは中国

 なりふり構わず核保有国へと突き進む北朝鮮。実験のたびに出される各国の非難声明も、繰り返し経済制裁を強化してきた国連安全保障理事会決議も意に介さない。国際社会は、対応に苦慮するばかりだ。

 今年1月の4回目の核実験や2月の長距離弾道ミサイル発射を受けて、米政府は3月、日韓と協力し、中国やロシアの賛同も得て、北朝鮮産の鉱物資源の輸入禁止などを盛り込んだ国連安保理決議を採択させた。

 米国が「この20年間で最も強力だ」と評価した内容だが、北朝鮮国内の事情に詳しい「アジアプレス」大阪事務所代表のジャーナリスト石丸次郎氏によると、国内の物価は安定しており、外貨難にも陥っていない。

「制裁開始から6カ月、その影響が北朝鮮国内の市場にはほとんど表れていないのが不思議」

 と首をかしげる。

 やはり、カギを握るのは中国だ。日米韓も制裁効果は中国次第だとみて、制裁の確実な履行を求めてきた。北朝鮮に自制を求め、国際社会と歩調を合わせる姿勢は見せている中国だが、国境を接する北朝鮮の不安定化は極力避けたいのが本音だ。

 9日の核実験を受け、中国外務省は「地域の平和と安定が損なわれている」と北朝鮮を非難する一方で、「関係国は大局をみて慎重に行動し、互いに刺激し合うことは避けるべきだ」とも強調している。(編集部・山本大輔)

AERA 2016年9月26日号