「いくらサーカス」では、エアリアルティシューなど空中演技のレッスンが可能(撮影/西元譲二)
「いくらサーカス」では、エアリアルティシューなど空中演技のレッスンが可能(撮影/西元譲二)
キッズサーカス入門クラスには学校帰りの子どもも(撮影/西元譲二)
キッズサーカス入門クラスには学校帰りの子どもも(撮影/西元譲二)
東京都墨田区の「エアリアルジム・くぅ」の発表会の様子。小学校高学年の子どもたちが積極的に難度の高い技を練習し、プロ顔負けの演技を披露する。将来、プロとして活躍したいという目標をもって始めた子どもも多い(撮影/西元まり)
東京都墨田区の「エアリアルジム・くぅ」の発表会の様子。小学校高学年の子どもたちが積極的に難度の高い技を練習し、プロ顔負けの演技を披露する。将来、プロとして活躍したいという目標をもって始めた子どもも多い(撮影/西元まり)
屋外で空中ブランコ体験ができる「トラピーズヒーローズ」。会員のナンシー富岡さん(51)は、「17年前、海外旅行先で当時4歳の娘が簡単そうにやっていたのに自分はできなくて」と始めた。今では一人で飛べる(撮影/西元まり)
屋外で空中ブランコ体験ができる「トラピーズヒーローズ」。会員のナンシー富岡さん(51)は、「17年前、海外旅行先で当時4歳の娘が簡単そうにやっていたのに自分はできなくて」と始めた。今では一人で飛べる(撮影/西元まり)

 布だけでぶら下がり、空中ブランコで宙を舞う。そんな曲芸は、プロのサーカス団員だけの世界だと思ってた。いやいや実は、普通の人が気軽にできる「フィットネス」に進化していたのだ。

 地上7メートルのスタート台まで、はしごで登る。高所恐怖症ではないが、下を見ると、幅4メートルの安全ネットがやたらと細く見えて、足がすくむ。こんな手に汗握る緊張、久しぶりだ。

「下を見ずに、遠くの木を見てください!」

 目の前に広がるパノラマに目をやる。ゆっくりと、空中ブランコのバーをまず右手でつかむ。体がぐっと下に傾く。後ろからインストラクターが腰につけた命綱をしっかり引っ張ってくれて「大丈夫ですよ」と言うものの、両手でそのバーを持つのが心底怖い。

「えい、やっ!」

 重力に身を任せると、振り子になった体はスピードを上げてスイングした。

 わ、飛んでる! なんかすごいぞ、この感覚。雑念が全て消える瞬間……気持ちいい。

 1往復し、指示に従って手を離し、命綱で安全ネットの上に降ろされた。安心のあまり腰が抜けそうになった。怖さを克服した自分を褒めてあげたい気持ち。私、やればできるやん!!

●社会性も身につく

 千葉県柏市にある「トラピーズヒーローズ」で、空中ブランコを体験した。トラピーズとは、英語で空中ブランコのことで、昨春にオープンした。初心者はもちろん、6歳から体験できる。地上で飛び立つ姿勢の練習をするだけで、すぐに空中へ。要予約で1時間3千円から。定期的に通う登録会員が現在、40人ほどいる。

 この日も40~50代の男女が次々、空中に飛び出していた。

 週1回通う50代の女性会社員は、「初めてやった時、できなくて悔しくて。今は難しい技ができた時の達成感がたまらない」とハマる理由を話す。体が引き締まり、着られなくなった服も再び着られるようになった。

 代表の大西広嗣さんは元サーカス団員だ。

「アメリカに行った時、老若男女が空中ブランコをやるのを見て、日本でもできないかなと思って。空中ブランコはボディーコンディショニングに最適。体幹やお尻の筋肉が鍛えられ、バランス感覚もよくなる。教えてもらわないと上達できないので、社会性も磨かれます」

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