内田洋行「タブレットで人類を変える」内田洋行 教育総合研究所 研究開発部 研究推進課課長 佐藤喜信(48)撮影/写真部・東川哲也
<br />
内田洋行
「タブレットで人類を変える」

内田洋行 教育総合研究所 研究開発部 研究推進課
課長 佐藤喜信(48)
撮影/写真部・東川哲也

 アエラにて好評連載中の「ニッポンの課長」。

【ニッポンの課長フォトギャラリーはこちら】

 現場を駆けずりまわって、マネジメントもやる。部下と上司の間に立って、仕事をやりとげる。それが「課長」だ。

 あの企業の課長はどんな現場で、何に取り組んでいるのか。彼らの現場を取材をした。

 今回は内田洋行の「ニッポンの課長」を紹介する。

*  *  *

■内田洋行 教育総合研究所 研究開発部 研究推進課 課長 佐藤喜信(48)

 子どもたち一人ひとりが、ノートではなくタブレット端末を持ち、デジタル教科書で勉強する。先生が使うのは、チョークを使う黒板ではなく電子黒板。壁には、クジラでもゾウでも、そして猿人でも、実物大で投影できるスクリーンがある。こんな最新のICT教育の現場を体験できるのが、内田洋行の「フューチャークラスルーム」だ。

 佐藤喜信は、7人のチームを率い、ICT教育を学校に導入する際に、どうすればそれぞれに適切な環境になるかを研究する。

「先生が授業をやりやすく、子どもたちが学びやすい環境を整えることが、私たち企業にできる教育支援だと思っています」

 法政大学経営学部を卒業後、1992年に内田洋行に入社。大阪で営業マンを経て、2005年に東京に転勤して現職に就いた。

 10年、ICT教育のカリキュラムや情報技術の研究のために、国は全国10校の小学校をモデル校として選び、1人1台タブレット端末を導入させた。このプロジェクトに佐藤たちが参画したときのことだ。

「教室に約40台のタブレット端末が持ち込まれたんですが、児童が一斉に電源を入れたため、ネットワークの負荷が一気に高まり、ネットに全然つながらなくなってしまって」

 充電の問題、機械が苦手な教師のためのICT支援員の導入と、プロジェクトでは大小さまざまな問題が浮き彫りになった。その一つひとつを解決するために動いてきた。

 現在、東京都荒川区の区立小・中学校ではすべての児童・生徒がタブレットを持つようになり、滋賀、兵庫各県や京都、大阪両府など、全国の小中高・大学にICT教育が導入されつつあるが、その現場には佐藤たちのノウハウが生きている。

「ICT先進国に比べると、日本は教育でのICT活用がだいぶ遅れているのですが……」

道具を持ったとき、人類は大きく進化したタブレットを持ったヒトは、どこへ向かうのだろう。その鍵を佐藤が握っている。

(文中敬称略)

※本稿登場課長の所属や年齢は掲載時のものです

(編集部・大川恵実)

AERA 2016年2月29日号