忙しい共働き夫婦は、家事・育児の分担が命! 完全に平等なんてありえない。それでも言いたいことはある。「朝シャワーはやめて」「配線作業も評価して」。お互いホンネを吐き出すと、理想の分担ラインが見えた。(ライター・今井明子/AERA編集部・小林明子)
「恐ろしいことに気づいてしまった」
「妻が死んだらヤバイです」
「私だけがやっているつもりだったけど、夫もかなりやってくれていたとは」
今回、家事と育児の分担を確認した3組の夫婦の感想だ。アエラが独自に作成した「共働きの家事育児100タスク表」を使って、タスクの分担を「見える化」してもらった。
●夫の朝風呂にイラッ
上の表にある全100個のタスクは、保育園に通う子どもがいることを想定している。夫が担当するタスクはグレーのシール、妻はピンクのシールを貼ってもらう。夫婦が平等に担当している場合はシールは半分ずつ。「子どもの入浴は平日は妻が担当し、休日は夫が担当する」など、一つのタスクに対して夫婦で担当する分量に差があるときは、メイン担当とサブ担当がわかるようにした。こうしてシールを貼り終わると、グレーとピンクのどちらの面積が大きいかで夫婦の分担度合いがすぐにわかる。平等に分担ができている時間帯とそうでない時間帯も一目瞭然だ。
共働き世帯は年々増加しているが、「妻の社会進出」は進んだのに、「夫の家庭進出」はなかなか進まない。総務省の2011年社会生活基本調査によると、子どものいる共働き世帯で、夫が家事・育児に費やす時間は一日平均39分、妻は4時間53分となっており、圧倒的に妻のほうが家事・育児に携わる時間が長い。「イクメン」や「カジダン」も増えているはずだが、実際はどうなのか?
完成したタスク表を見て、芹田治さん(30)は言う。
「やっぱり負担は妻に集中していますよね……」
長女(0)の誕生前は、家事は気づいたときにどちらかがやる程度でなんとかなった。が、育児が始まるとタスクが格段に増えた。そこで、妻の詩織さん(36)は夫に何度も問題提起をし、主に家事分野を夫の担当に移行した。
「夫は言えばやるけど、自分で考えて動けない、気づけないんですよね。もっと主体的に家事や育児に関わってほしいのに」
夫は朝に入浴する習慣だったが、夜に変えてもらった。
「毎朝、登園前の時間のない中で、私が娘に離乳食を食べさせています。私が大変な思いをしているときに、夫がお風呂でリラックスしているのが、ちょっとイラッと。朝は夫にも家事をしてもらうことにしました」
さまざまなリクエストを、夫は冷静に受け止めて応えてくれる。それがありがたいと妻は感じている。
●隠れタスクも評価して
北山俊輔さん(40)は、タスク表を作ってみて気づいたことがある。それは、膨大な家事・育児タスクに対し、夫が「前衛」、妻が「後衛」になっているということだ。俊輔さんは、拾える「球」だけ拾い、それ以外のタスクはすべて妻の千晶さん(39)が引き受けていたのだ。
「僕が拾えなかったタスクをすべて妻が拾わなければいけない。そういう強迫観念は重かったでしょうね」