優先順位の低いタスクは家電や業者の利用も考えているが、外注はできていない。洗濯物が多いため乾燥機付き洗濯機の導入を考えたこともあるが、高価なうえ洗濯に時間がかかり、布地も傷むようだったのでやめた。

「次男の布おむつは近いうちに卒業するはずなので、今だけ我慢すればいいと割り切ることにしたんです」(貴宏さん)

 藤村家は一戸建ての持ち家に住んでいるが、一軒家ならではの苦労もある。自宅の周囲が竹林で、春はタケノコがどんどん伸びてくる。竹が電線に引っかかったり倒れたりすると危ないため、夫が片っ端から刈り取る。これがかなりの負担。一度、植木屋に頼んでみたら素人がやるよりもきれいにはなったが、タケノコは次々に生えてくるので、コストがかさみそうだった。

「結局、自分でやっています。子どもも僕の刈り取る姿を好奇心いっぱいのまなざしで眺めているので、そのうち手伝ってもらおうかな」(貴宏さん)

●夜は夫にお伺い必須

 取材に協力してくれた3組の夫婦は妻の働く意欲が高く、夫もそんな妻を尊重している。しかし、3組とも朝は夫婦でおおむね平等に分担しているのに対し、そのほかの時間帯は妻の負担が大きい。“朝だけイクメン”という共通点があった。

「夫は残業できるし、仕事の後の飲み会に参加するのにも私に許可を得る必要はありません。でも、私が夜遅く帰ろうとすると、必ず夫にお伺いを立てなければいけない。夫の都合が悪ければ、ファミサポに預け先の手配をしたうえで、ようやく夜の予定が入れられます。子どもができてから、その自由度の違いが息苦しいと感じています」

 そう語るのは北山千晶さん。出産後、夜のお誘いがぐっと減ってしまった。参加できる夜の予定は、送別会と歓迎会くらい。芹田詩織さんも、仕事関係のイベントが夜によく開催されるため、たまには出席したいという。

「職場も本音をいえば私に参加してほしいのでしょう。これから子どもが少し大きくなったら、週1回、せめて月1回は夜のタスクを代わってもらえるようになるといいですよね」

 また、芹田家は、子どもの夜泣きで夫婦ともに睡眠不足になるのを避けるため、夫婦の寝室を分け、妻が子どもと一緒に寝ている。これも、夫が子どもの寝かしつけができない原因となっている。

 仕事に邁進し、限られた時間で家事・育児をこなす共働き夫婦は、日常に追われている。そんな中で、わざわざタスク表を作るのは面倒だ。しかし、どの夫婦も「タスク表づくりをしてよかった」と口をそろえた。藤村涼子さんはこう振り返った。

「子どもと一緒に早く寝る妻と、深夜に帰宅する夫のコミュニケーションの時間は朝だけ。あとは日中に携帯で業務連絡するくらい。タスク表が、夫婦の分担や家事の優先順位などを見直すきっかけになりました」

 夫婦がすれ違うと、どうしても「いつも家事をするのは私ばかり」「僕もちゃんとやってるんだけど」とお互いに少しずつ不満を募らせていってしまうもの。夫婦関係に黄色信号がともったら、タスク表を活用するというのも一つの手かもしれない。

■共働きの家事育児100タスク表
http://goo.gl/FBff1M

AERA 2016年5月30日号