今回動いた布田川断層帯と日奈久断層帯も評価対象で、発生の可能性は「高いほう」だとされていた。

 これが市民に浸透しなかったのは、活断層型地震の発生周期が長いからだ。プレート境界型地震は100~200年ほどの周期で発生するが、活断層型は数千年単位。伝聞も記録もされていないから、「地震は起きない地域」と思ってしまう。

 さらに今回、地震は布田川断層帯・日奈久断層帯だけにとどまらず、北東方向の阿蘇地方、大分県中部の別府地方へと延びた。数日後には逆の南西方向でも地震が発生。この広がりも一般市民には不可解に思えた。

「それぞれの場所で偶然に発生したのではなく、関連があると思われます。九州の地質構造から説明ができます」と産総研の吾妻さんは解説する。別府湾から島原湾までを横断するように別府─島原地溝帯が広がり、その一帯は地盤が陥没。平野など低い土地が広がっている。今回の一連の地震の震源域は、地溝帯の南の縁に沿って並んでいるのだ。地溝帯は大きな断層のようなもの。その南の断層面が動いたと解釈できる。

「地震とは点で起こるのではなく、面で破壊が進みます。阿蘇、別府と地震が頻発したのは、本震で破壊が進んでいく方向が北東だったから。今回の本震は、水平方向に地面がずれた『横ずれ断層型』でした。南西側で発生している地震は、地面が動いたことによる影響が後から出てきていると思われます」(吾妻さん)

(アエラ編集部)

AERA  2016年5月2日-9日合併号より抜粋