「晩婚化がじわじわと始まっていましたが、そのまま非婚化するとは誰も想定していなかった。負け犬世代のはしりです」

 そんな50歳に、いまほころびが目立ち始めている。経済ジャーナリストの荻原博子さんは、近著『隠れ貧困』(朝日新聞出版)の中で、こう指摘している。

「本人たちは浪費しているつもりはないのに、なぜかお金が貯まらないという家庭は多い。(中略)50歳前後のアラフィフ家庭は貯金ができないところが増えている」

 金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査」(15年、2人以上世帯)によると、年間手取り収入(臨時収入を含む)の貯蓄割合が「ゼロ」の人は、50代で23%にのぼる。年収の5%未満も9.7%。3割以上がほとんど貯蓄できていないことがわかる。

 荻原さんは、「『ワンランク上』という言葉が大好きで、消費の楽しさを知りつくし、目も肥えている。けれど、右肩上がりの時代を生きてきたので、景気が傾いても、貯めるという発想がない。親たちがゼロから築いた財産を食いつぶすことで家計を維持している家庭は多くあります」と話し、「堅実」を今後のキーワードに掲げる。

「子どもの教育費を削れない、美容やファッションにかけるお金も減らすと惨めな気持ちになる。そんな人は、いまが切り替え時。この先、給料が上がることはありませんから」(荻原さん)

(アエラ編集部)

AERA 2016年4月25日号より抜粋