背後にバブルの影響?(※イメージ)
背後にバブルの影響?(※イメージ)

 今の50歳は、驚くほど若くてアクティブ。時代の恩恵を受けてきたことが大きく影響しているようだが、これから先の生活ではその経験が足を引っ張ることもあるかもしれない。

 50歳は、団塊世代が築いた消費ブームにのり、バブルを堪能。雇均法の恩恵で女性の地位も向上した。社会学者の上野千鶴子さんは言う。

「それぞれの世代には、思春期を過ごした時代のエートスが身体化されています。バブル期に分不相応の浮かれ方をした世代の『なんとかなるわ』という楽観主義は、年を重ねても変わらないでしょう。とりわけこの世代のわかりやすい拝金主義とブランド志向は成長経済型ですね」

 上野さんは、ここで見落としてはいけないデータがあると指摘する。この世代は高校進学率は男女ともに9割を超えているが、大学進学率は男性38.6%、女性は13.7%にとどまる。短大と合わせても高校より上の学歴を手に入れた女性は34.5%だけ。さらに、雇均法は施行されたものの、その恩恵を受けたのはごく一部。大半の女性は寿退社要員で、この世代の女性の初婚年齢の平均は25.9歳(90年)。第1子の出産は平均27歳(同)だ。

「『昭和妻』が圧倒的に多いのが今の50歳。大卒総合職は超レアな存在なのに、雇均法ができたためにメディア露出が不釣り合いに大きく、過大評価されました。あとから見れば当時の女性の雇用拡大は、単なる景気効果にすぎなかったんですけどね」(上野さん)

 女性の短大進学者数と四大進学者数が逆転したのは、90年代半ばになってから。結婚後も働き続ける女性が増えたのも、その頃からだ。

 いまの50歳は、女性が社会でどんどん働くようになったパイオニア世代──。しかしそれは、実は圧倒的少数派だった。

 丙午生まれで少数、バブルの恩恵をたっぷり受けつつ、旧来的な家族を形成してきた50歳。上野さんは指摘する。

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