松下幸之助週刊朝日 1963年1月4日号(撮影/出版写真部)
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松下幸之助
週刊朝日 1963年1月4日号(撮影/出版写真部)
尾崎豊朝日ジャーナル 1985年7月19日号(撮影/白谷達也)
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尾崎豊
朝日ジャーナル 1985年7月19日号(撮影/白谷達也)
三船敏郎アサヒグラフ 1961年3月10日号(撮影/杉崎弘之)
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三船敏郎
アサヒグラフ 1961年3月10日号(撮影/杉崎弘之)

 戦後直後の1945年12月に創設された朝日新聞出版写真部。保管庫に眠る70年にわたる膨大なフィルムを見直すと、そこから見えてきたのは──。時代を生き抜いた人々であり、人々につくられた時代そのものだった。

 ワインが熟成するように写真も時を経て、撮影直後とは違う意味合いをおびてくる。撮影当時は雑誌に載せるための有名人ポートレートという役割だった写真は、今見ると明らかにその時代の空気が写り込んでいるタイムカプセルにもなっている。

 そんな貴重な写真の数々を展示する写真展「朝日新聞出版写真部の70年」を開催する。登場人物は今も名前が残る人ばかりだが、若い世代ほど知らない人も多い。尾崎豊も生きていれば50歳か。あの名経営者・松下幸之助がジャンプしている! なんで三船敏郎はちょんまげ姿で外車を運転しているの? さらに、今も一線で活躍する人たちのここでしか見られない一枚も。

 世代ごとに受け止め方が違うのも、70年分を一挙に展示する本展の特徴かもしれない。若い世代には未知なる人物と時代を味わっていただけるよう、年配の方には、ノスタルジーだけではなく写真のもつ力を感じていただけるよう構成した。

 東京都写真美術館の丹羽晴美・学芸員は「個人でなく公に報道を背負って社会にカメラを向けてきたカメラマンの写真は、より強く世相を写そうとしている。歴史を読み解き、未来がどうなるか、観客が見返すきっかけになる写真展」と話している。

 写真展は全国4会場で開かれる。すべて入場無料。

3月9日(水)~4月12日(火): キヤノンオープンギャラリー1&2(品川)
3月10日(木)~3月16日(水): キヤノンギャラリー銀座
3月31日(木)~4月6日(水): キヤノンギャラリー梅田
4月28日(木)~5月18日(水): キヤノンギャラリー名古屋

(写真部・外山俊樹)

AERA  2016年3月14日号より抜粋