09 年1月15日、パキスタン・タリバンは「イスラム教は女性への教育を認めていない」と主張し、この日以降、女子が学校に行くことを禁止。その中で、マララさんの学校では女子の授業が密かに続けられた。

 マララさんは同時にパキスタンの主要テレビ局の番組に出演し、「スピーク・アップ(思っていることをはっきりと言う)」するようになる。勉強が好きだった。だから、「女の子だって学校に行くべきだ」とカメラに向かって訴えた。

「二つの道がありました。死を待って沈黙するか、スピーク・アップして死ぬか。私は後者を選びました」(ノーベル賞受賞演説から)

──期待が重すぎると感じることはないか。

マララさん:スワート渓谷では、400以上の学校が破壊されて、女の子は学校に行くことができない。そこから私は来たんです。だから、パキスタンの子どもだけでなく、世界中の子どものために闘いたい、と自分に約束しました。

── 先進国の子どもは教育を受けるのは当たり前だと思っているが。

マララさん:先進国の子どもは、教育はほんとうに重要だと理解するべきです。パキスタンやアフガニスタン、インドの子どもは、iPadやXboxではなく、たった一本の鉛筆を欲しいと願っている。教育によって自分が望む将来が得られる、とわかっているからです。

 私が今行く学校は、建物がきれいで、図書館や実験室やパソコン室があるけれど、パキスタンの子どもは、屋根がなくても床に座り、先生さえいてくれればいいと切望しています。こうした話は、先進国の子どもたちを刺激するでしょう。

AERA  2015年12月14日号より抜粋