日本中が猫に夢中?(※イメージ)
日本中が猫に夢中?(※イメージ)

 本に猫ゲームのヒット、さらには猫で町おこしまで。実は猫がもたらす経済・癒し効果はすごい? 近年の猫人気を改めて振り返る。

和歌山県にある貴志川線は赤字続きで廃線寸前だった。その貴志駅に猫の「たま」が07年に駅長に就任すると、05年度に年間約192万人だった乗客数が、3年で約219万人まで増加。起死回生となった。今年6月にたまは死んだが、社葬には3千人が集まった。現在は猫の「ニタマ」が2代目として立派に後を継いでいる。

 東京・神田神保町にある姉川書店は、ごく普通の小さな書店だったが、3年前から特徴を出そうと、猫の本を置く「神保町にゃんこ堂」というコーナーを設けたところ、海外からも客が訪れるように。売り上げも倍以上となった。

 雑誌「アンアン」は、今年6月に「にゃんこ♡LOVE」というタイトルで猫を特集すると、発売から3日で完売。9月に新装版としてムックを発売したが、

「おかげさまで3刷と、こちらも順調に売れています」(「アンアン」副編集長・長居広さん)

 スマートフォンのアプリ「ねこあつめ」は、猫を集めるゲームだが、680万ダウンロードと大ヒット。映画では、今年だけでも「猫侍 南の島へ行く」「先生と迷い猫」「4/猫─ねこぶんのよん─」などが上映。まさに「猫の手」が大活躍だ。

 なぜか猫にひかれ、猫に吸い寄せられる私たち。それは多分、福をもたらすからでも、経済効果があるからでもない。猫好きなら、イギリスの作家ディケンズの、この言葉に深くうなずくのではないだろうか。

「ネコの愛より偉大なギフトがあろうか」

AERA  2015年11月2日号より抜粋