ネットタレント山下智博さん(30)あれよあれよという間に中国ネット界のスターに。バカげているようで意外とやさしいユーモアが持ち味(撮影/足立真琴)
ネットタレント
山下智博
さん(30)
あれよあれよという間に中国ネット界のスターに。バカげているようで意外とやさしいユーモアが持ち味(撮影/足立真琴)

 上海に住む日本人留学生が、いま中国で大人気になっているオタクキャラに込めたユーモアが、ネット民たちに刺さった。

 動画再生1億回。中国版ツイッター「微博(ウェイボー)」のフォロワー22万人。中国版LINE「ウィチャット」のフォロワー12万人。中国ネット民にダントツで愛されている日本人は間違いなくこの人、山下智博さん(30)だ。

 8月に上海で開かれた同人イベントでは、押し寄せるファン対策で主催者が山下さんにボディーガードを7人もつける騒ぎに。同じ日に行われた中国の動画サイト「土豆(トゥートウ)」主催のリアルイベントでは最優秀コメディー番組賞が贈られた。今年8回目となるこのイベントで、外国人、それも日本人が受賞するなんて。信じられない。

 七三分けに色眼鏡、マオカラーのシャツというちょっとキモいこのキャラが爆発したのは2014年夏。中国版ニコニコ動画といわれるビリビリ動画にアップしたショートドラマ「リーペン(日本)ティアオスー」の再生回数が500万回に達したのだ。

 ティアオスーとはイケてない若者を意味するネットスラング。自分の非モテ人生と、薇薇(ウェイウェイ)と名づけたダッチワイフの恋人との同棲生活を自虐ネタ山もりのラブコメディーに仕立てた10回シリーズがウケた。初めてながら山下さんがひとりで脚本、監督、おまけに主題歌の作詞・作曲、歌まで担当。主題歌は台湾系カラオケボックスにも入っている。

 山下さんは大阪芸術大学卒で、札幌で地方公務員をしながら表現活動をしていた。いつかは海外にと思っていたため、26歳の時に知り合いのつてを頼って、400万円の貯金とともに上海へ留学。現在は上海大学美術学院の大学院で「日中の若者文化交流」を研究する。

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