化学物質の保管施設で起きた爆発事故現場。残留物質が引火する危険が残るなか、救助活動は続く/8月17日、中国・天津市(写真:gettyimages) @@写禁
化学物質の保管施設で起きた爆発事故現場。残留物質が引火する危険が残るなか、救助活動は続く/8月17日、中国・天津市(写真:gettyimages) @@写禁

 中国・天津市で起きた爆発事故は、死者が100人を超える大惨事に。原因や背景が分かるにつれて、事故は人災の色合いを強くしている。

 現場一帯は、中国政府肝いりの経済開発区「浜海新区」。そこには発展を最優先してきた中国がおろそかにしてきたものが、はっきりと表れている。

 爆発現場から500メートルほど離れた宿舎の2階にいた建設作業員の羅興貴さん(57)は、8月12日深夜の爆発が起きる前後の様子をこう話す。

「午後11時ごろ、炎が見えたので窓から顔を出して見ていた。火の勢いはどんどん増すばかり。30分ほどたったころ、バンと大きな爆発が起きた。驚いてベッドに座り込むと、さらに大きな爆発が起きて建物ごとなぎ倒され、気がついたら地面に打ちつけられていたんだ」

 爆発が起きたのは、化学物質の保管施設。約40種類、計約3千トンの危険物を貯蔵していた。水と接触すると引火する物質も含まれていたとみられるが、火災の通報を受けて駆けつけた消防隊員たちは、炎を上げるコンテナに何が入っているのかも知らされぬまま放水を続け、爆発に巻き込まれて命を落とした。

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