カレー作りの時間。参加したインテリジェンスの片岡秀夫さん(32・左から2人目)は「他社や地域で働く人とのカルチャーの違いが面白い。課題の難易度も高く、やりがいがあります」(撮影/編集部・直木詩帆)
カレー作りの時間。参加したインテリジェンスの片岡秀夫さん(32・左から2人目)は「他社や地域で働く人とのカルチャーの違いが面白い。課題の難易度も高く、やりがいがあります」(撮影/編集部・直木詩帆)

 学びたい。でも、仕事は忙しいし、何を学べばいいのかわからない。そんな社員を研修や社内制度で後押しする「学べる会社」がある。

 5月末、金曜朝7時の羽田空港。カジュアルな服装の男女がターミナルに集合し、北海道・旭川空港行きの飛行機に乗り込んだ。目的地は、空港からバスで15分ほどの美瑛(びえい)町。なだらかな丘に木がぽつんと立つ風景で知られる観光地だ。

 バスから降り立ったのは、ヤフー、インテリジェンス、アサヒビール、日本郵便の社員たち。美瑛町役場の職員らが出迎え、研修参加者は総勢26人になった。「地域課題解決プロジェクト」と題した研修の幕開けである。参加者は20代後半から40代前半までいるが、中心は30歳前後だ。ヤフーが中心となって立ち上げ、東京大学大学総合教育研究センターの中原淳准教授が監修して昨年始まったこの研修は、これで2回目になる。

 参加する社員は五つのチームに分かれ、約半年間、月1回のペースで美瑛町を訪れる。中原准教授や参加各社の社長や役員などの講義を聴いたり、グループワークをしたり。最終的には美瑛町の課題を探り、解決策を考えて町長らにプレゼンする。

 地域の課題解決を最終目標に据える社員研修は、実はそれほど珍しくはない。しかし、異業種から多様な参加者が集まる点や、参加各社の人事担当者や町職員などが事務局を組織し、手作りで運営している点などが注目を集めている。

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