開始前に予習させてもらったところ、プログラミングとはいえ、あの呪文みたいな言語を覚える必要はなし。一つ一つの動きをあらわすコマンドがブロックのピースになっているので、パソコンの画面上でドラッグしてつなげていけばOK。たとえば画面の「上を向く」ブロックと「下を向く」ブロックをつないでスタートを押すと、ロボットがうなずく、みたいな。

「今日は犬に芸をさせます」

 インストラクターの説明があったあと、90分のレッスンがスタートした。ほかの子のパソコンをカンニングさせてもらいつつ、画面上のブロックをいろいろいじってみた。が、プログラムをロボットに転送して動かしてみると、なぜかうちの犬だけ、「ひっくり返ってじたばた」しかしないんですけど。

「この犬、壊れてませんか?」とインストラクターに聞いてみたが、「そんなことないですよ」と笑うだけ。答えは教えてくれない。

 しょうがない。コマンドの数値や組み合わせを変えては動かすトライ&エラーに取り組むことに。みんなが「黄色いブロックを犬に見せたらワンとほえる」みたいな高度なミッションに進んでいる横で、「空を見上げてから、ふせをして、おすわり」だけ何とか成功!…したところで汗だくの90分が終了した。

 画面の中の画像ではなく、リアルに存在する「モノ」をプログラミングで動かすことのむずかしさもつくづくわかった。なんせ同じコマンドを使っても、ロボット犬の重心や仕組みなどによって、実際の動きはまるで変わってしまう。そして何より、目の前の「モノ」が思い通り動いたときの感動ったら。ロボット犬だの自動車だの、わかりやすい「モノ」に自由自在に姿を変えるレゴブロックが、いい仕事をしている。

AERA 2015年6月29日号より抜粋