隣の同僚はロボットという時代に備え、テック弱者の記者が、彼らと交流するため、プログラミングを学んできました。(ライター・福光恵)

 女子大学生と雑談していたときのこと。いつもの毒舌で、彼女の鼻をへし折ってやった。

「でもさ、あと20年もすると、今ある職業の半分は、コンピューターに取って代わられてなくなるらしいよ。大変だね」

 まさかそのバチが当たろうとは、そのときは知るよしもない。数日後、編集部からこんなミッションが降ってきた。

「プログラミングの勉強をしてきてください」

 それって、コンピューターを動かすために必要な、あの“呪文”みたいなやつですか?

 実は過去、これに何度もトライしてきた。大学の授業で落ちこぼれたのに始まって、最近も「スマホのアプリで億万長者になれる」と小耳に挟み、プログラミングの本を購入。結局、5分で挫折している。

 プログラミングは、コンピューターにあれやれ、これやれと指示をする命令書のようなもの。「0」と「1」しかわからないヤツらと話をするための共通言語とも言える。ただし、英語と日本語があるように、ウェブの制作でおなじみの「HTML」とか「JavaScript」とか、いろんな言語があるらしい。

 聞けばそのプログラミングなるものが、「読み、書き、英語」と並んで、現代人の必須スキルになる日が近いとか。英語が不自由だと「ビジネスパーソン失格」と言われるようになったのは、ここ10年ほどのこと。その英語もまだマスターしていないのに、今度は「プログラミングができないと人にあらず」ってことですね。

 こりゃあ大変。さっそく、プログラミング教室を探すことにした。今回参加させてもらったのは、子ども向けと大人向けの二つの講座。まずは簡単そうなほうから。特別に加えてもらった、春休みの子ども向けプログラミング教室だ。

●MITの「スクラッチ」

 小学3年生から中学3年生を対象にした2日間(受講料2万6千円)の教室。企業向けのソフトウェア開発などを手がける「情報技術開発」(東京)が、今年から始めた。ソリューション企画部の八十雅世さんによると、自分の時代は木の棚や豚汁を作っていた中学校の「技術家庭」の授業で、今やプログラミング学習が必修になっているそうで、

「小学校でもプログラミングの授業を導入する動きがあり、関心は高まりつつあります。そこで立ち上げたのが、この『IDEA Makers』という子ども向けの教室です」

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