東京・新宿のキリストンカフェ東京で月イチで行われる日本最大規模の女装パーティー「プロパガンダ」は、女装者から普通の男女まで、各人のスタンスで女装を楽しめるのが特徴(撮影/会田法行)
東京・新宿のキリストンカフェ東京で月イチで行われる日本最大規模の女装パーティー「プロパガンダ」は、女装者から普通の男女まで、各人のスタンスで女装を楽しめるのが特徴(撮影/会田法行)

 カップルで、合コンで。今や女装は普通の男性が手軽に楽しめる世界。バーチャル女性体験が思わぬ解放感を生み出すようだ。

 最近は女装の入り口も増えている。ネットには女装のためのメイク技術だけでなく発声法まで紹介した動画も多い。

 また、ふらっと入店してもすぐに女装が体験できる、東京・新宿の「女の子クラブ」というバーもある。これまでも女装した人が接客する飲食店や、また女装の衣装を貸し出す「ルーム」と呼ばれる場所はあったが、その両方を兼ね備えた店はほとんどなかった。

 男性はチャージ3千円で衣装やメイク道具を貸してもらえ、プラス4千円でメイクしてもらえる。全身女装をするための初期費用を思えばかなりリーズナブルである。現店長のくりこさんも、同店のオープンで初めて女装し、常連からスタッフに、そのまま店長になった。

「週末は50~60人ぐらいお客さんが来ますね。飲み会の2次会みたいな使われ方も多いです。酔っ払ってノリでワイワイ女装する、みたいな。面白いところでは大手メーカーさんが部署の社員旅行で使ってくれたこともあります。部長以下、全員が女装で記念写真を撮ってました」

 取材時にちょうどやってきたカップルも、上司から忘年会に向けてネタを仕込むように言われた彼氏がネットで調べて同店を訪れたという。彼女の持ってきた黒のスカートに、上は店内で選んだフリルのついたブラウスで、OL風の女装にトライ。メイクまでばっちり決めた彼氏はかなりかわいい。本人はちょっと戸惑いぎみだ。

 くりこさんが言う。

「最近は合コンでウチを使う人たちもいるんです。女装をする過程で自然とスキンシップできるじゃないですか。女性がおおっぴらに男性を触るっていうのはあまりないから、面白いって言うんですよ。そんな『女装』の使い方もあるんだなって。そうやって人それぞれに女装を楽しめばいいんじゃないかと思うんですよね」

AERA 2014年12月22日号より抜粋