忙しすぎる現代。セックスを巡る環境は厳しい。深夜残業、“弧”育て、住環境……。すべてが夫婦をセックスから遠ざけている。「年3回」を「週1回」に戻すことはできないのか。専門家らに話を聞いた。

 アエラ編集部は11月下旬、インターネットを通して全国の男女500人ずつを対象に、性に関する意識調査を行った。

 配偶者や恋人など、特定のパートナーがいる女性の4割超、男性の4割弱で、セックスの頻度は月1回を下回った。子どもがいる人に限れば、「年1回未満」が男女とも2割以上。

 パートナーをセックスに誘うときのサインや決まりごとも尋ねた。「週1回以上」から「月1回」までの頻繁派は、日常の何げない一言やボディータッチをきっかけにコトに及んでいるようにみえたが、「3カ月に1回」から「年1回未満」のご無沙汰派は、「直接迫る」や「メールで要求」。誤解や疑いの余地のない誘い方をしていた。

 カップルカウンセリングを行う「@はあと・くりにっく」の西澤寿樹さんはこう分析する。

「同じメールという手段を使って誘っていても、頻繁派は『ハートマークを送る』で、ご無沙汰派は『メールで要求』。頻繁派は子ども同士の無邪気なやりとりのようですが、一方のご無沙汰派は、まるで親が子どもをしつけているようです」

 心理学の「交流分析」では、人間の心の動きを三つの機能に分けて考える。子どものころに親の言動を見て無意識に取り込んだ「親の機能」と、大人になって冷静に判断するようになった「大人の機能」、子どもの時に体験した感覚を維持している「子どもの機能」だ。見た目の行為は同じでも、親ならそのモチベーションは「そうすべき」、大人は「そうしたほうが得」、子どもなら「そうしたい」と違ってくる。

 西澤さん曰く、セックスは「子ども」になってするからこそ、じゃれ合うように楽しんで充足感を得られるもの。つまり、「べき」論や損得勘定ではなく、楽しんで向き合えるかどうかが大切なのだ。

AERA  2014年12月22日号より抜粋