日本人は自分をエストニア人と思え? 米で起業時の助言

AERA#仕事
 窮屈な日本を飛び出して、シリコンバレーで成功を夢見て働く日本人がいる。

 ビッグデータ関連のクラウドサービスを提供する「トレジャーデータ」は、グーグルと同じマウンテンビューに本社を構える。日米にオフィスを持ち、社員数は現在50人。成長軌道に乗りかけているところだ。

 最高技術責任者(CTO)の太田一樹が、最高経営責任者(CEO)の芳川裕誠らと、シリコンバレーで起業した理由は、日本に大きな成長市場がないから。同業の米国のスタートアップ企業は、数年で社員を15人から800人にまで増やした。太田は「アメリカには何かがある」と、強く感じた。

「シリコンバレーは新しい技術に対して寛容。投資家もテクノロジー業界の次の動きをよく理解している。この大きなシステムの中に入らないと、企業として生き残れない」(太田)

 芳川は日本の三井物産系のベンチャーキャピタルから独立。その人脈をたどり、シリコンバレー有数のエンゼル投資家、ビル・タイから資金を得た。ヤフー共同創業者のジェリー・ヤンらも投資に加わった。

 もっとも、コネもない土地での社員集めは容易ではない。ただでさえシリコンバレーはエンジニアの獲得競争が激しい。自らも起業経験のあるタイは、太田らにこうアドバイスした。

「自分たちを日本で会社を起こしたエストニア人だと思え」

 日本人によるスタートアップ企業は、ここでは“未知の存在”。進んで就職するエンジニアなどいない、という意味だ。

 トレジャーデータは、日本に約3分の1の人員を置く。インフラ系のシステムエンジニアは、米国だとフェイスブックなど大手に囲い込まれるので、日本で人材を雇う。シリコンバレーでは、ユーザーインターフェースなど、米国が先行する領域のエンジニアを中心に雇う。

 ここでの流儀に則り、赤字続きでもまず市場拡大を狙う。顧客企業は100社を超えた。太田は言う。

「自分たちのエストニア度も少しは薄くなってきたかな」

AERA  2014年9月15日号より抜粋

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