いつウイスルを持った蚊に刺されるかわからない不安から、公園から親子連れの足が遠のく。普段は多くの子どもたちでにぎわう林試の森公園も、閑散としている(撮影/写真部・馬場岳人)
<br />
いつウイスルを持った蚊に刺されるかわからない不安から、公園から親子連れの足が遠のく。普段は多くの子どもたちでにぎわう林試の森公園も、閑散としている(撮影/写真部・馬場岳人)

 国内でデング熱に感染した人の広がりが止まらない。9月に入ると、代々木公園やその周辺以外での感染も判明。千葉市稲毛区や東京都台東区などで新たな感染の疑いが浮上した。国内の感染者は、15都道府県在住の103人に上る(11日現在)。

 幼い子どもを持つ親や保育園関係者の間には、特に不安が広がっている。まず、子どもは、デングウイルスを運ぶ蚊(ヒトスジシマカ)に狙われやすい。

「蚊は、吐く息に含まれる二酸化炭素や体が発する熱、水分などを感じて寄ってくる。代謝が活発で、よく汗をかく子どもは蚊に刺されやすいのです」

 蚊の専門家で、害虫防除技術研究所の白井良和さんは、そう話す。さらに自治医科大学の松岡裕之教授は、集団生活に伴うリスクを指摘する。

「人がたくさんいれば、蚊が集まり、その分吸血の機会も増える。ウイルスを保有した蚊に次々に刺されて、『集団感染』のようになる可能性もあります」

 デング熱をめぐる不安は募るが、国立感染症研究所の沢辺京子・昆虫医科学部長は、「デングウイルスに感染しても、年齢が低いから症状が重くなるという報告はありません」と話す。

 対策としては、鉢植えの水受けなど蚊が産卵する身近な水たまりをなくすことが重要、と強調する。

「発生源を除き、来年生まれる蚊の数を抑制するべきです」

AERA 2014年9月22日号より抜粋