車体載せ検修を終えた台車に車体を載せる。あとは最終チェックや試運転を残すのみだ(撮影/写真部・工藤隆太郎)
車体載せ
検修を終えた台車に車体を載せる。あとは最終チェックや試運転を残すのみだ(撮影/写真部・工藤隆太郎)

 50年にわたり新幹線の運行を支え続けているJR東海浜松工場。最新鋭新幹線の検査工場には、普段は目にすることのできない光景が広がっていた。

 炎天下、踏切で通過列車を待っていたら、やってきたのは白地に青いラインの流線形……なんと新幹線だった。

 そんな光景に出くわしたのは、静岡県浜松市内にある「西伊場第1踏切」。JR東海によると、東海道新幹線で唯一の「新幹線踏切」だ。16両編成のN700系の行き先は、近くの「JR東海浜松工場」で、検査で工場内に入る場面に遭遇したのだ。

 東海道新幹線では、前回検査からおおむね2日以内に実施される簡易的な「仕業検査」、走行距離3万キロ以内または30日以内に行われる「交番検査」などの定期検査がある。ここ浜松工場が担当するのは、走行距離120万キロ以内または3年以内に行う「全般検査」だ。部品の隅々までを点検し、修繕を施すオーバーホールだ。各種検査の中で最長の15日間を費やしている。

「気をつけてください。先頭車両がこちらに近寄ってきますよ」

 案内してもらっている一人、浜松工場検修科の御手洗宏助役に声を掛けられた。目を凝らすと、工場内の100メートルほど先から、あの平たく伸びたボンネットの車体が、天井からつり下げられた可動式の黄色いクレーンに抱えられ、空中を宇宙船のようにゆっくりと移動してきた。「車体載せ作業」だ。

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