婚活にいそしむ男女が増える中、医学部の女子学生の中には学生時代から婚活にいそしむ人もいるという。そこには、女医をとりまくある事情がある。真面目に働いている女医にとって、結婚の壁は思いのほか高いのだ。

 市中病院に勤務する内科医の女性(36)は、肩をすくめた。

「学生時代の彼と別れたきり、相手はいません。自分より稼いでデキる女を敬遠する男性も多いのかなと思います」

 当直もあり、土日の出勤日もある。就職後間もなく彼と破局した理由は、勤務先が違うため遠距離恋愛で、休みも合わず、すれ違うことが増えたから。同じく30代の女医も、とにかく相手が見つからないと嘆く。

「出会いが限られていて、合コンに行くヒマもなくて。誰かいないか、友達に聞いてまわっています。もう、贅沢は言いません。同年代で同じくらい稼げる人がいい」

 と言っても彼女の年収は1千万円超。同年代で1千万円以上を稼ぐ男性はそういない。

 でも、結婚はしたい。未婚でいることには、強烈な劣等感がある。健診センターで働く女医(29)は、学生時代を振り返った。

「40歳近い先輩女医が未婚だと、学生の間で『あの人優秀だけど、やっぱりどこか足りないのかな』って話になるんですよ。自分も同じように言われるのかと思うと怖いんです」

 だが、キャリアから考えれば、女医にとって結婚は不利になる。産婦人科医として活躍し、母親でもある宋美玄(そんみひょん)さん(38)は言う。

「1浪2浪で医学部に入って、卒業して研修を終えれば、20代後半です。女医は、医師としての研鑚を積む時期と、婚活や妊活の時期が重なってしまう。子どもを産めば一定期間現場を離れざるを得ず、復職しようにも大学にポストは残っていません。医師としてキャリアを積むには、働き続けるしかない。結局、女医三界に家なし、です」

AERA 2014年8月18日号より抜粋