新しい万能細胞「STAP細胞」を開発したという論文が発表された英科学誌ネイチャー。ネイチャー編集部でも論文の調査を開始したという(撮影/写真部・植田真紗美)
新しい万能細胞「STAP細胞」を開発したという論文が発表された英科学誌ネイチャー。ネイチャー編集部でも論文の調査を開始したという(撮影/写真部・植田真紗美)

 リケジョ旋風から一転、「新型万能細胞」の論文に「不自然」な画像があると、画像の使い回しの疑いが出てきた。共同研究者らは「単純なミス」というが……。

 日本中を沸かせたわずか2週間後にこんな事態に発展するとは、誰も予想していなかっただろう。細胞生物学の歴史を塗り替えると騒がれた新型万能細胞「STAP(スタップ)(刺激惹起(じゃっき)性多能性獲得)細胞」を開発した理化学研究所のユニットリーダー、小保方(おぼかた)晴子さんの研究成果に疑惑の目が向けられている

 注目を集めているのは、英科学誌ネイチャーに掲載されたSTAP細胞に関する2本の論文と、それらに先立つ2011年の米専門誌の論文。いずれも筆頭著者は小保方さん。ネイチャー論文では、別の状況で撮影されたはずの2枚のマウスの胎盤の写真がそっくり。11年の論文では、多数の実験結果を示す画像の中に、同じものを上下反転させるとそっくりなものがあるなどと指摘された。実験結果の「使い回し」ではないかと疑われたのだ。

 理研は「(2月)13日に外部の研究者から疑義の指摘を受けた」として、関係者の聞き取りを始めるとともに、内外の専門家に調査を依頼。ネイチャー誌も疑惑に対する調査を始めたと発表。11年の論文は、小保方さんの博士論文に引用されており、博士号の審査をした早稲田大学も同18日から、審査が適正だったか調査を始めた。

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