会員制転職サイトを運営する「ビズリーチ」の多田洋祐執行役員は、木下さんのような転職に、35歳以上の転職が成功する際の典型例を見る。

「キャリア形成をきちんと考えている人ほど動きやすい。自分の強みが整理されていて、やりたいことが明確だからです。そのうえもし、女性でマネジメント経験があるようなら、ダイバーシティーを推進したい企業にとってはぜひ欲しい人材です」

 一方で、景気回復期の人材不足の際に、本来であれば重宝されるはずの「第二新卒」への需要が、今回は高まらない。アエラのアンケートでも、「求める人材」として「第二新卒」をあげる企業は限られていた。

「リーマン・ショックの際、第二新卒として採用していた人材が使いものにならなかった。不況下で数字を上げられたのは結局のところ30代以上の社員だったのです。このことが企業のトラウマになった」(多田氏)

 コニカミノルタ人事部の原利之マネジャーもこう言い切る。

「第二新卒レベルの人材は求めていない。ゼロを1にできる人材が必要なのです」

 フィルムからデジタル画像へ、などと技術革新が進む中では、社内にいる既存の人材ではカバーしきれない部分が出てくる。

「新規分野の人材が必要。今まで社内にはいなかった人材を、外部から積極的に採用したい。ニーズをかなえる人材となると、必然的に年齢が高くなる」

※AERA 2014年2月10日号より抜粋