授業中に漫画を読んだり、騒ぎ立てたりと、一部の小学校でクラスが荒れているという。背景には中学受験があり、荒れる生徒は受験のストレスにさらされていることが多いようだ。これを防ぐためには、親の協力が重要になってくる。

 江東区で中学受験率が高い小学校に長男を通わせる会社員の女性(39)も、親の責任が大きいと見る。

「荒れた児童は、学校の備品を壊すこともあるので、保護者が何度も学校に呼ばれていましたが、児童の態度は改善されません。親も、受験に関係ない学校のことは、どうでもいいという考えなんです」

 また都内にある個人指導塾の講師の男性(38)は、受験生にストレスを与える親として「まじめに塾の宿題を全部やらせるタイプ」を挙げる。

「大手塾の中には、親から勉強させていないと文句が出ないように、やれるわけもない大量の宿題を出す塾も。それを親が理解せず、子どもを潰してしまう」

 この塾講師が話すように、実際、受験する子どもたちには、積み上げたら、自分の身長を超すほどの量のテキストやプリントが与えられる。とはいえ受験生なのだから、全くやらせないわけにもいかないのだが…。

 中学受験に関する著書もあり、講演やセミナーで親のサポートについて尋ねられることも多い教育コーチングオフィス「サイタコーディネーション」代表の江藤真規さんはこう話す。

「膨大なカリキュラム、そして勝ち負け。受験が成長期の小学生に激しいストレスを与えるのは当然です。親の役目は、勉強、勉強と怒ることではなく、マネジャーに徹して、子どものストレスを軽減することです」

 睡眠や食事といった基本的な生活習慣、ほめることの大切さなどはもちろん、ほかに親が意識すべきことについては、

「学校で荒れるのは、そこでわがままを出しやすいから。子どもだってつらい。家庭で上手にケアするために、まずは子どもの話を聞く。親が確認したい話ではなく、聞くべきは子どもが話したい雑談です。また男の子でも、肩に手をおくなどのスキンシップを。そんな親の態度だけでも子どもは安心できます」

AERA  2013年12月2日号より抜粋